郷土史探訪(8) 宮武 紳一
登別の開拓と森林
今から約百十年前、幌別郡の所領支配を命じられて入植した、片倉家の人によって作成
されたと思われる「胆振国幌別郡全図」をみますと、登別地方の森林分布の状態がおおよそわかります。
木材の種類は、桂、トド松、エゾ松、ナラ、ドロ、セン、イタヤ、栗、タモ、クルミ、カバ、ホウノキ、桜
などが多く、竹は地竹(根曲り竹)、筋竹(シャコタン竹に似ている)が記録されています。
開拓に従事した昔の人達にとって開拓の第一歩は、うっそうとして空をおおう巨木の原始林をきり倒し
耕して畑地をきり開くことにありました。
「天をもしのぐ大木と密生するくま笹が相手では、まさかり、カマ、そしてクワなどは赤子(あかん坊)のおもちゃに
過ぎず、やっと切り開いたわずかの土地に種をまいても、畑の周囲にそそりたつ大木は、夏は葉が茂って畑に陽があたらず、
木によじ登っては枝を切り払ってわずか日光にあてる。
しかし、花は咲けども秋に実はみのらず収穫は皆無に等しい悲惨な結果に終わり一家の者はただぼう然とするのみで
あった。」と、登別地方の開拓日誌「丈草の記」に書かれています。